domingo, diciembre 10, 2006

FAT JOE "Me, Myself & I


ぼくはヒップホップのいい聞き手じゃないけれど、テゴ・カルデロン~N.O.R.E~そしてこのアルバムという流れで捕らえると、これは明らかに傑作だと思う。一瞬の隙もなくて、すべてが決まりまくってる(それとドラマの真実らしさを構成する卓越した能力は特筆もの)。先日N.O.R.Eのレゲトン・アルバムについて書いて『Latina』に送ったばかりなんだけれど、最近のプエルトリコ系レゲトン~ヒップホップ・アルバムの完成度の高さは、個々のアーティストに帰すだけでは、理解できないところがあって、それは簡単に言うと民族の盛りあがりのようなものを背景にしていて、そうしたものを無視して考えられない、なんてことを書きました。
実際、レゲトンは今、ラティーノであることを確認する道具みたいなもんだし、そうしたムーブメントにファット・ジョーも巻き込まれてる。"Mas Maiz"のビデオで一番目立ってたのも彼だしね。ただこのアルバム、わずかにスパングリッシュになる部分を除いて、レゲトンやるわけでもなく、とくにラテンな仕掛けがあるわけじゃないんだけど、たとえばジェニファー・ロペスが入った前作なんかより、ずっと何というか、レゲトンが保っているテンションにスカッとシンクロしている気がする(というのは嘘だね。最近聞いてなかったのでボケてた。最後のトラックは、ラテンアメリカとレゲトンへのオマージュです)。
プエルトリコのアンダーグラウンドシーンが、盛りあがっている記事は、長屋美保も今号の『Latina』に書いてます。